ロレックスのステンレス素材は普通とは違う
腕時計の材質の多くは、現在では耐蝕性とコストのバランスの良さからステンレススチール製が主流となっています。ステンレスは硬く、磨くと鏡面になりますのでドレスウォッチにも多く採用されていますが、その種類にはいろいろなものが有ります。普段身近なステンレス製品として使われているのは、SUS304などが多く使用されていて、勿論腕時計にも多く使われています。そして少し値段の高い腕時計では、SUS316Lという種類のステンレスが良く使用されています。
一方ロレックスでは、最もベーシックな材質であるステンレススチールの製品に、SUS904Lという材質を使用しています。一般にステンレスは錆びないというイメージですが、実際には錆びにくさに違いは有れども、全く錆びないという訳では有りません。SUS316Lでもかなりの耐蝕性ですが、SUS904Lになると貴金属に劣らない程の耐蝕性が有ります。そして貴金属は非常に高価ですが硬度は決して高くはなく、美しさと引き換えに傷に対してデリケートなのが難点です。
他にも耐蝕性に優れた金属として腕時計に使用されている材質に、チタニウムが有りますが、チタンは表面硬度はあまり高く無い上、加工がしづらく、高級腕時計の仕上げとしては表面処理加工を行って硬度と美しさを出しています。それに引き換えロレックスのステンレススチールは耐蝕性や硬度も最上である上、その加工方法も硬度をより高めるべく、ステンレスを何度も高価重で叩いて加工する、鍛造工法で製造されています。ロレックスは元々実用性重視の腕時計メーカーです。現在は高級腕時計ブランドとして確固たる地位を持っていますが、あくまで実用性に拘った素材を妥協無く使い続けている所が、他の高級腕時計ブランドとは異なっていると言えるでしょう。